鷹野淳一と浅香夏目

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「浅香さーん」 某日、朝。  ある田舎地方の一角にそびえ立つ城 と言っても過言では無いでかい家。その城の一つの部屋で男が忙しなく家を歩き回っていた。タンスを開け引き出しを引き家具の下に手を伸ばす。 …どうやら何かを捜しているようだった。 「あ、さ、か、さーん」 そしてまた一呼吸置いて誰かを呼ぶ。そしてそれに呼応するかのように部屋のドアが開けられる 「………………」 出てきたのは女にしては長身の綺麗な女性。長い栗色の髪をとかし、眠たそうに男の方を睨み付けた。 男は、焦る。 何かに怒っているのだと感付いたからだ。 「ど、どうしたの浅香さ…」 「それよ」 ぴしっ という擬音が似合う形で男を人差し指で指さすと彼女はまた口を開いた。 「二人の時は夏目って言ってって何回も言ってるわよ鷹野君」 「あ、ごめんごめん。夏目さん」 要求を通し、実行されると男も女もふんわり笑った。 今度は男が口を開く 「日記―…知らない?夏目さんと喫茶店で出会ってから今まで書いてた俺の日記。」
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