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「…はぁ…はぁ…すみません…はぁ……あやめ…さん…居ますか?」
息を切らして駆け込んだ藤城さんに、マスターは呆れた顔で見つめていた。
「ユウ!!よくもうちの可愛いウエートレス虐めてくれたなぁ?…今日はあっまぁぁいブレンド入れてやる♪」
マスターはそう言うと藤城さんを見てクスクス笑った。
藤城さんは苦笑しながら、私に近付くと深々と頭を下げて来た。
「先程はすみませんでした。…嫌な思いをさせてしまって。その…同僚達にからかわれて…お話も余り出来なくて…」
彼の言葉に私の胸は締め付けられた。
「もしかして……わざわざ…謝りに?」
「すぐに後を追いかけなきゃと思って…休憩時間早めて貰ったんです。……それと今日は日替わりランチも下さい。」
藤城さんは呼吸を整えると、いつものカウンターの席に腰を下ろした。
「ったく!うちのあやめちゃんは看板娘なんだからな!」
そしてマスターはニヤリと笑うと、私をちらっと見た。
「…さっきまでどっかの誰かさんに泣かされ…」
「Σマスターっ!!」
私は慌ててマスターを睨み、藤城さんにお冷やを渡した。
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