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毎日のように来るお客さん。
いつも2時ちょっと前に来て、珈琲を頼む。
その人が『常連さん』から、『好きな人』になるのに時間は掛からなかった…。
あれは半年前の事。
カウンター席の端に黒い折り畳み傘が置いてあった。
「マスター…忘れ物があったんで、届けて来ます。」
私は慌てて傘を手にし、先程出て行ったばかりのお客さんの後を追った。
「あの!!すみません!!…はぁ…はぁ…傘…お忘れですよ?」
相手の肩を叩き、息を整えてから、持っていた傘を差し出すと、彼はハッとしながら受け取ってくれた。
「…傘?…Σあっ!!…わざわざ持って来てくれたんですか?…ありがとう。」
そう言って微笑んだ彼から、私は目が離せなくなっていた。
(この人…こんなに優しい笑顔で笑うんだ。)
人は一度意識し始めると、自分の意思とは関係無しに、感情が動くらしいι
傘の御礼にと、彼が有名な店のケーキを持って来た時も、私の心臓は口から飛び出すんじゃないかと思うくらい、早鐘を打ち、耳まで真っ赤になって俯く事しか出来なかった。
……追加で言えば、お皿三枚も割ってマスターに怒られたけどι
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