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照れたように笑う彼に、私の心臓はドキドキしっぱなしだった…。
(本当に素敵な人…でもきっと彼女が居るんだろうな…。)
「…ん?…さん?…あやめさん?」
「Σはい!!…あιすみませんιぼんやりして…」
急に呼ばれて見上げると、彼は微笑みを浮かべていた。
「…この前はありがとうございました。傘忘れる事は良くあるんでι…助かりましたよ。」
「いえ…御忘れ物を届けるのは当たり前ですから。…そう言えばマスターとはお知り合いなんですか?」
私の質問に彼はニコニコしながら答えてくれた。
「マスターは僕の父親の幼なじみなんです。昔から家族ぐるみの付き合いをさせて貰ってて…。」
「そうだったんですか…だから藤城さんを『ユウ』って…」
彼はマスターをちらっと見ながら苦笑した。
「まぁ…息子みたいなものですから…。今では慣れましたし。…そう言えばあやめさんは料理とかなさるんですか?」
私の動きは石化したように止まり、冷や汗が背筋を伝って行った。
料理…私の苦手な物。
良い材料買って何回頑張っても、得体の知れない焦げた物しか作った事が無いι
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