Rendezvous 14. Februar

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こうして私のチョコレートとの戦いは始まった。 閉店後のキッチンを借りて、買って来た『初めてでも分かるチョコレート』と書かれた本を、隅から隅まで見てみたが、私の脳内は【?】マークで一杯だったι 「…湯煎?…バット?…とりあえず溶かして固めれば…良いのかな?ι」 マスターは不安げにこっちを見て苦笑していた。 「あやめちゃんι大丈夫か?ι…トリュフとかガトーショコラとか、生チョコとかめんどくさい物じゃなくて、簡単なやつで良いからι」 「溶かして固めれば良いんですよね♪…さぁて頑張るぞ♪」 1時間後… 「…………ι」 「……ι」 二人とも無言のまま、出来上がった物を見つめていた。 脂分が分解され固まったために所々白く、形が上手く纏まらず、いびつになったチョコレート…らしき物がそこにはあったι 「……まι…まぁι…初日にしては…良い出来じゃないか?ι」 マスターの言葉に、私の目から涙が一粒零れ落ちた。 「やっぱり…無理ですよ…っ…こんな…こんなの…ぐすっ…しか…作れな…っ…」 溢れ出す涙はポタポタと床に落下して行った。
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