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マスターは私の頭をぽんぽんと撫でると、チョコレート…らしき物体を口にした。
「…!!!」
「うん。なかなかだよ♪初めてにしたら上出来だ。…あやめちゃん。誰だって得意や不得意はあるんだ。…だけど思いを込めて作った物は、何でも美味いんだよ♪…このチョコレートだって、ユウや俺にやるために作ったんだから。な?……まだ日数はあるんだ。あとは慣れる事だよ。」
私は頷くと涙を拭いて、チョコレートを一粒口にした。
(今は苦くて焦げ臭いけど、藤城さんへの思いがあれば…当日には美味しいチョコレートになってるかな?)
それから毎日のように私はマスターとチョコレートを作った。
最初は不揃いだった形も、次第に整って来て、見た目は美味しそうに見えるようになった。
……味はまだちょっと焦げた味だけどι
そんなある日マスターが、私にチョコレートを買って来て欲しいと言った。
「チョコレート…ですか?」
「うん。敵の腕前を知る事も重要だからね♪…駅前にあるユウの勤めてる店から買って来て。…ナッツ入りでも何でも良いけど、出来たら普通のやつね。」
私は言われた通り、藤城さんの働く店に向かって歩き始めた。
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