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「じんぐるべーる、じんぐるべーる、鈴がっ鳴るーっ」
ちょっと待っててと言われてから数分後、いつもの五割増しで上機嫌な彼女は、再び現れるとその場でくるりと流麗に一回転した。
「今日はー楽しい、クリスマスーっ、いぇいっ」
歌う事で忙しい彼女は、目線で具合を訊いてくる。何のって、今の衣装の事だ。服のセンスが良い彼女は、普段から煌びやかなのだが、今回のそれは一段と目を奪われる物だった。
「じんぐるべーる、じんぐるべーる、鈴がっ鳴るーっ」
端的に言えば、詰まる所、それはミニスカサンタだった。うおっほい。赤が映えるスリムな上着に、腰布みたいなスカート。街を歩けば男の視線は独占だろう。容姿端麗な彼女と相俟って、もう言葉で表すのも窮する光景だった。
「今日はー楽しい、クリスマス、いぇいっ」
後ろ手に組んで、歌いながら部屋の真ん中で胡坐を掻く俺の元まで歩いてきた彼女は、気が済んだのか、歌い終わると今度は言葉にして尋ねる。
「どうかなっ」
「良いんじゃねえの?」
「んもーっ、■■君はクールなんだからーっ」
他に何と答えれば良いのだ。エロいだとか際どいだとかごちそうさんでしたとか、思った事をそのまま言ったら男として失格だろうし、何より──
すると彼女は、俺の横にちょこんと座ると、えへへーと満面の笑みを見せてくる。
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