15人が本棚に入れています
本棚に追加
「これねこれね、お母さんに買って貰ったんだー」
「……子も子なら親も親だな」
お母さんグッジョブ。とは言えず、ついでに自然と身長差から来る上目遣いに耐え切れなくなった俺は、正面を見ながらぶっきら棒な態度を取る。だが彼女はそれが照れ隠しだと理解しているらしく、ぐいぐいと肩を寄せて来る。
「うふふ。私とお母さん、何から何までそっくりだからねー。ご近所さんからは姉妹みたいって言われるよ」
「嬉しいか?」
「お母さんが若作りなだけだからへーきっ」
調子に乗った彼女は、いよいよ肩に頭を乗せて、密着度が高まって来た時、彼女は「ねーねー」と猫撫で声を出す。
「えへへ、知ってる? サンタの服が赤いのって、返り血を浴びたかららしいよー。普段は強盗をやってて、クリスマスに盗んだ物を皆に配るんだってー」
そんな事を言いながら、体を俺の方へ倒すと、息のかかるぐらい近くまでにじり寄った彼女は、じっと俺の目を覗き込んで来る。くりくりの彼女の瞳は、とても綺麗で、吸い込まれそうだった。
「へえ、そいつは初耳だ」
「意外だよねー、子供に夢を運ぶサンタクロースが、実は稀代の凶悪犯だなんて」
四つん這いの彼女は、見惚れるぐらいの深い笑みを浮かべると、更に続けた。
「もしかしたら、サンタさんが良い子にしかプレゼントをあげないのは、大人になっても自分みたいになるなっていうメッセージなのかもねっ」
最初のコメントを投稿しよう!