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「やばい!やばいって!!」
亜玖斗が叫んだ瞬間、予測していた事態が起きた。
肩が当たっていた部分のフェンスが千切れ、肩がフェンスから抜けてしまったのだ。
「ひぃっ!?」
「亜玖斗キモい。肩抜けただけで落ちないよ。」
「キモいって言うな!!」
二人が騒ぐのと比例し、フェンスに押しつけられる力も強くなっていく。
鉄に付着している錆が頬につくが、そんなことをいっている場合ではないのは分かっている。
さっきまで、ミシミシとなっていたフェンスは段々と斜めになっていった。
『あ…兄貴ぃ……。フェンスがやばいですぜ?』
『チッ……。しゃあねぇ、退却だ。』
二人をその場に放置して、チンピラ共は屋上から去って行く。
「いやいやいやいや!!この場面で放置プレイは酷い!」
「亜玖斗五月蠅い。少しは落ち着け。まぁ。そのまま墜ちていいけど。」
「そういうこと言うのやめてくれ!!」
亜玖斗が叫んだ瞬間、フェンスの根は抜け、二人はビルの屋上から下の高速道路に真っ逆様。
垂直下降していった。猛スピードで。
しかも、フェンスに肩が引っ掛かり、抜けることが出来ない。
二人は衝撃を感じたくないのか、思いっきり目をつぶる。
そんなことをしても無駄だが。
「天国にいってもオタク仲間だからな!!」
「お前の仲間なんて真っ平御免だ!!」
二人の姿は終わりのない地面に墜ちていくように、見えなくなっていった。
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