24人が本棚に入れています
本棚に追加
包丁
『まぁ~、まぁ~』と呼ばれる声がした。
2階にいる私を、母が呼んでいた。
母はお風呂に入っているはず…
私の家は狭く小さな家ではあったが、お風呂場から呼ぶ声が聞こえる筈はない。
『バスタオル忘れたのかな?』と、母のいるお風呂場へ行くと…
母は、身体も髪も濡れたままの状態で、青い顔をして小刻みに震えていた。
私:『どうしたの?』
母:『…お父さんがね
包丁投げたの…』と
母:『こうやってね…
歯を上に向けて…』
人差し指と親指で刃の背を挟み、母に狙いを定めて投げたと言うのだ。
最初のコメントを投稿しよう!