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そんな感動の再会も、ほんの束の間。
「……は、吐く…っ!」
菜緒子はそう言って貴史を突き飛ばし、どいて!と慎一達をも押し退けて化粧室に駆け込んだ。
「……ひっでー女だな…」
貴史はそう言って笑い、誌乃は慌てて菜緒子を追って化粧室に戻った。
「 だっ…、大丈夫ですか?」
個室のドアを開け放したまま座り込んでいた菜緒子の背中を、誌乃は懸命に擦る。
暫くしてようやく落ち着いたのか、菜緒子はヨロヨロと立ち上がった。
「……悪かったわね…。晴れの席で醜態を晒して…」
洗面台で口をすすぎながら、決まり悪そうにそう言う菜緒子に、誌乃は小さく首を振った。
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