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「トイレだ」
「と、トイレ」
「あそこには鍵がある」
私は自分の目が据わっていくのを感じながら、ようやく苦笑を浮かべる。
「なるほど、と言ってやりたいが、それは僕が考えた最終手段だよ静季」
きょとんとされても困る。
「男子トイレ…だぞ」
「……あー…今更だが、思い出した」
私は 女 の 子 だ !!!
ぽりぽりと頭をかく静季に、ほぅとため息をついて、私は机に顎をのせた。
「ま、結局そうするしかないんだけどな」
「あんた、大丈夫だよ。正直さ」
「ん?」
静季が耳元に口を寄せる。
条件反射で頭をよせた。
「胸、ないじゃん」
……何を考えてるかは知らない。
でも私は、怒ったぞ。
満面の笑みとは裏腹の、煮え繰り返った腹わた。
「そうだね」
がたりと音を立てて席を立つ。
「おい?」
「ちょっと用思い出した」
「出るなら俺もついて…」
「来なくていい!!!」
面を喰らう静季を放置して私は一人教室を離れた。
「バカ野郎め…」
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