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「中々の広さだな、着替えるには十分か」
人の声が消えるのを待って侵入したトイレ。
――初です。
「確認完了、なんとかなりそうね」
下見を終えて、腕時計に目をやる。
そろそろ朝礼だし、帰らなきゃ。
何もしていなが、なんとなく汚い気がして手を洗い、トイレを出てすぐの廊下を真っ直ぐに教室へと向かう。
下手に動くと道がわからなくなるからな。
ついでに道なりにある教室の中を覗きながら歩いていると、ふと、肩に手に重みを感じ足を止めた。
「?」
誰だ…?
空の知り合いかと、身構えて振り向けば、そこにはなんと、息を切らした静季がいた。
私は俄かに目を見張る。
「…何してんの」
「探した」
のっそりと体を起こした静季を見上げて、私は呆気にとられる。
「何で…」
「悪いっ!!」
「……え?」
「悪かった!俺が体育委員なばっかりに、ついててやれなくて」
「……」
なんか勝手に勘違いしてる。
そんなことで、怒ってるんじゃない。
謝らせて、逆に申し訳ないような内容なんですけど…。
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