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「何言ってんのさ、体育委員なのはどう考えても悪いことじゃないでしょ!しかも僕がこんな日まで入れ替わってるのが悪いんだし」
「じゃあなんで怒って出ていくんだよ…」
むすっとして問う静季は、すねた子供の様に学ランの襟首に顔を半分うずめて上目使う。
同い年だが、彼は時折すごく可愛い。
若干キュンとしたのがばれないように平静を装って、私はこほんと咳払いを一つする。
「自分の言葉をよーーく思い返してごらんよ。僕からいうことじゃない」
「今のうち謝る。ごめん」
「理由もわからず謝っても意味がないだろうがっ!!」
「真夏~そんな怒るなよ~」
「本名で呼ぶなバカっ」
「…馬鹿」
また始まった、落ち込みモード。
こっからは単語トークか?
付き合ってらんないよ。
「もういいから、ほら、教室帰るぞ。朝礼がははじまっちまう」
「……」
静季は無言でうなずくと、何を思ったのか小走りに、私の進行方向に立ちはだかる。
うろんげに見上げれば、少し硬い表情の静季が、きゅっと口を引き結んで私の顔を覗き込む。
「何」
おもむろに手が伸びて、私の手を握った。
「え?」
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