8人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
美咲が麗子に連れられ部屋を出てから、俺は風呂に入った。
冷えきった体を湯船につけ、俺は思いにふける。
美咲を連れていった麗子は、過去に俺の女だった。
麗子は…初めて俺の金とかじゃなく、俺を俺として愛してくれた女だ。
俺も、麗子は初めて人として愛せた女だった。
ただの暇潰しとかじゃなく、麗子が本気で好きだった。
それをあのくそ親父に、引き裂かれた。
俺と麗子は必死に抵抗したが、親父は麗子のまわりに圧力をかけていく。
家族…友人…麗子は耐えられなかった。
ごめん。
そう何度も謝る麗子の声は、今も俺の耳にはり付いてはなれない…。
俺にはフィアンセがいる。
まだ数回しか会ってないが、金持ちを鼻にかけた嫌な女だ。
政略結婚。
俺もあの女も、企業の発展のための駒でしかない。
俺の人生は金に狂わされている。
最初のコメントを投稿しよう!