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閉じるドアの音が耳に残る沈黙。
慶吾も本当はこうやって、私ではなく麗子さんを抱き寄せたい。
きっとそうだろう。
麗子さんだってきっと…。
思えば思うほど、心は揺らぎ葛藤する。
罪悪感にさいなまれる…。
でも何故だろうか?
私は少し、麗子さんに嫉妬していた。
「…私、似合ってるかな?」
そう言って、慶吾を見上げた。
「あぁ。」
そう言った慶吾の瞳に映るのは私。
私のはずなのに…
慶吾は今、何を思うの?
私は初めての感情に戸惑い、揺れていた。
雨粒がひとつになって窓を伝う。
気づけば、雨は止んでいた。
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