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服を着替え、メイクをする。
誰かのためにこうやって着飾って、容姿を気にして…
そんななことが、とても楽しく感じた。
その後、ホテルを出て慶吾の車で移動した。
着いたのは、高層マンションだ。
慶吾に案内され、最上階の部屋に向かった。
「ここが俺の部屋だ。
入れ。」
慶吾は扉を開け、私を中に招き入れる。
モノトーンに統一された、お洒落にコーディネートされた部屋だ。
ただ、そこに生活感は感じなかった。
部屋に入ってすぐ、慶吾の携帯がなった。
「…そうか。
わかった、すぐに行く。」
慶吾は電話を切ると、小さくため息をついた。
「悪いが、仕事が入った。
すぐに終わらせて帰るから、ここで待っててくれ。」
そう言うと、足早に部屋を飛び出す。
初めて入る男性の部屋に突然置き去りにされ、私は戸惑った。
「どうしよっか…」
部屋を見渡すと、倒れた写真立てがある。
悪いとは思ったが、私はその写真を手にとった。
写真に写る幼い少年と優しい表情をした女性。
これは慶吾と母親なのだろうか?
ほのぼのとした雰囲気の2人は、幸せに満ち溢れていた。
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