死神

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仮名キョウコさん。 入院中にとても怖い夢を視たそうです。 元々不思議な力を持った方だったんですが… ここは…? 目を開けると何にもないところでした。 病院じゃない…。 ここはどこだろうと、辺りをキョロキョロと見回すと、後ろから気配が。 振り向くと、大きな鎌を持った、全身真っ黒な大男が立っていました。 そのとき、だいぶ弱りを自分で痛いほど感じるようになっていた私は、自然に死神だろうと思いました。 『しにがみ…?』 “……。” 無言で返されたのを私は、肯定とみました。 『待って、まだ私を連れていかないで?私には、小さな子供がいるから…』 “駄目だ。” 低く野太い声でした。 …………… 病院の白い天井がみえます。 ゆ、め…。 キョウコは、嫌な汗を大量にかいていました。 数日後にこの方は還らぬ人となってしまいました。 心からのご冥福をお祈りします。
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