そりゃ災難だね

7/11
前へ
/269ページ
次へ
*** 呼び出されたのは美容院を出た直後、16時になるかならないかの頃だった。 大事な話があるの。 その名目のもと、最寄りのファミレスに緊急招集。 大体分かってはいる。 ファミレスという比較的開放的な場所で大事な話もくそもあるか、ということくらい。 それでも私が赴くのには、理由があった。 「あ、怜っ!こっちー」 カランカラン、という軽い鈴の音。 店内に響くような大きい声とともに、理花が手を挙げた。 二人掛けのテーブルには既にオレンジジュースが置いてある。 「あ、髪切ったの?」 「うん、仕事忙しくなってきたから」 「へー。私エクステつけたのに彼氏に気づいてもらえなかったあ~」 一週間前に会ったときより10センチ程度長くなった髪を見て、放っとけば伸びるのに。と思うのは何回目だろう。 「まだ彼と同棲してるの?」 「うん!でもこないだ女物の香水つけて帰ってきたからさ~もー別れよっかなあ…」 「じゃあ少しの間家に帰ったら?お父さん、帰ってきてるんでしょ?」 理花の母親は他界して、父親は海外出張の多いお仕事。私の親は若い内に離婚していて、今はもう会っていない。 そんな環境の中育った私たちは、小さい頃からなにかと一緒に行動していた。
/269ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5182人が本棚に入れています
本棚に追加