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言ってしまえば、それが理花に会う理由だ。
腐れ縁。
その一言で片付くほど簡単ではないけれど。
思春期の大半を依存し合って育ったために、理花は一人で居ることを極端に嫌がるようになった。
彼がいる時はいい。
問題は居ないときだ。
過去に一度、私の仕事が忙しかったときに理花から離れたことがあった。
ちょうど彼と別れたところだったらしい理花は、情緒不安定から精神的に参ってしまって。
一日に何十件と着信がある携帯を、そのとき初めて見た。
「えーでもさぁ…私が逃げるみたいじゃん!向こうが悪いのに!」
「でも家族に頼ることもしないと。もしもの時、困るのは理花でしょ?」
「だって怜が居てくれるでしょ?」
私がいつまでも傍に居られるならいい。
でもそうじゃないことはもう分かっているから。
一足先に社会に出たためか、元々の性格なのか、私は理花の分まで独立心が強くなっていた。
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