電柱

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なんとか犬は見つけられそうだ。だが俺には、犬を見つけることはできても、その場所をお姉さんに伝える力は持っていなかった。 (なあお前ら……どうやったら、お姉さんに居場所を教えることができると思う?) 俺はまた、皆に聞いてみた。 (お前、俺らが何なのか忘れてない?俺らは腐っても電柱だぜ?) 返ってきた答えで、俺はひらめいた。 そしてタイミング良く、犬が隣町の住宅街に迷い込んでいたという連絡が入る。 俺はひらめいたアイディアを行動へとうつした。 ……結論から言えば、アイディアは大成功だった。 俺に繋がれている電話線で彼女の家に電話をかけ、電気信号で 『トナリマチ ナナチョウメ ヨンジュウサンバンチ サンノ ゴノ イチ』 と、メッセージを残しておいた。 彼女はいぶかしげながらも、藁にもすがる思いでその場に行ったようだ。犬はそこの電柱の元で寝ていたらしい(後から電柱仲間に聞いた)。 今日はまた、平和な日常が戻ってきていた。 そして今日もあの犬は、俺にマーキングした。 ちっくしょぉおおおおお!!! 完.
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