甘く甘く、堕ちていく。

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「……なにか?」  視線に気づいた彼は、作業していた手を止めて、不思議そうな顔で私に尋ねた。 「あっ、ごめんさない。邪魔しちゃったかしら」 「いいえ。物凄く熱心に見ていたので、なんだろうと思っただけなんです」  言いながら、一時停止していた手を再び動かす。  あれっ?  さっき見たときよりも、チョコに艶が出てきた……ように見える。……なんでだろう。 「それって、なんの作業をしてるんですか?」 「これ? これは“テンパリング”といいます」  不思議に思って訪ねてみると、彼は作業をしながらも丁寧に質問に答えてくれた。 .
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