テノヒラ

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ごめん、ごめん、と 謝罪の言葉を口にしたけど 心が込もってないと、少しいじけた君 あぁ、そんな君の態度も可愛いと思ってしまう ぷぅ、と頬を膨らまして 少しひそめられた眉間のシワ 胸の前で組まれた両腕 君の全てを愛しいと感じてしまう いつの間にか日は沈み 公園は君と二人だけになっていた 夕焼けに紅く染まる、君の柔らかい髪を 思わず撫でたくなった もう一度ごめん、と口にすると 君はため息をついて 鮮やかな笑顔を浮かべた それはどんな美しい情景も霞んでしまう、 極上の微笑みだった しょうがないなぁ、と あぁ、また君に惹かれてしまう どうしようもないぐらい 君を愛しいと思う 太陽が木々の間から沈んでいくのが見えた 辺りは闇に傾いた 家に帰ろうと、君にさしのばした左手 そこに感じだ、君の右手の温もりは 沈んでいった太陽よりも 温かくて 優しかった .
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