デジタルと電波

はなし ６こめ

「何が萌えなんだろうか？」

「大学生にもなって、真のヲタになれなかった中途半端な高校生の台詞を言うなよ。まさに高二病。オレは見るのに関しての否定はしないが、人前で喋るのには反対だ。隠せよ。恥ずかしいから」

「じゃあ、何がお前にとっての【萌え】なんだ？　戯れ言はいい。いいから真剣に答えろ！」

　はて。
　Why?
　どうしてこんなシリアスナンバーもとい、いつもふざけた面しているやつで、友達に数えるにはオレの気持ちが癪になるこいつが、どうして最高に真面目な表情(かお)をして問い詰めてんだ？
　チョームカツク。閻魔大王に舌抜かれて針のむしろに刺されたまま好きな女の子に「あなた好みじゃないの。それよりきもい。やめて。あっ、冗談か。ごめん。そんなの当然だよねぇ」って言われればいいのに。

「知るか」

「はっ。てめぇ、ふざけんなよ！　【萌え】ってんのはな、神様がくれた僕たち私たちへの最高の感性なんだ……。それがない？　そんなわけあるかぁ！　神様が平等にくれた感情なんだから、お前にないはずがない。いや、男なら絶対にある。ちなみに俺的にはツンデレ萌えだな」

「うぜぇ。てか、萌えのツボは意外に普通だ。何もボケなしの真面目発言じゃねぇか」

「ふっ。　わかってないな。ツンデレってのはな一種の愛なんだ。いつも主人公と喧嘩ばかりしているが、実は誰よりも主人公のことを思っているし誰よりも理解したいと願ってるんだぜ。ツンデレは、そんな思いを一途に伝えるのがちょっとへたなだけで、ついつい素直になれないけど一番純情なんだ。好きって言葉がなかなか言えない健気な女の子なだけ。でもそこが萌え要素なんだけどさ。だからこそ、しゃーろっくほーむずの頭脳だってびっくりの大胆不敵な行動力と、かいじんにじゅうめんそうの変装術も驚きの裏腹言葉でツンデレは地球を救うんだ。愛が全てなんだ。ちなみに、江戸川乱歩さんの二十面相は途中から別人とか明智さんが初期とキャラが違うとかは認めない。明智さんはいつだって俺と同じ紳士」

　知るかっ。