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莉乃は、初めて智に怒鳴られた驚きのあまり、放心状態でその場に立ち尽くしてしまった。
そこへ、凄い声を聞きつけた珠希が、莉乃の元へとやって来た。
「莉乃…広瀬先生どうしたの?何があったの?」
すると、莉乃の目から涙が次々と零れて来て、嗚咽も漏れて来た。
そんな莉乃を珠希は、優しく玄関へと促し、マンションをあとにした。
次第に、莉乃の涙は、落ち着いて来たが、気持ちは、かなり沈み込み、珠希も安易に励ますことが出来ないほどだった。
一方、智は、莉乃を怒鳴りつけてしまった事への自己嫌悪に苛まれていた。
…思い通りにいかない自分への八つ当たりで、何も悪くない莉乃を、傷付けてしまった。
こんな俺、駄目だ…
俺みたいな奴と一緒にいたら、もっと莉乃を傷付けてしまうんじゃないか?…
ごめんよ莉乃…
俺は、どうしたらいい?
………
……
俺は、ダメだ…
ダメだ…
ダメな人間なんだ…
… … …
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