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(君と歩いた道、今は一人きりで)
まさかあたし以外
みんな卒業とは思わなかった
「来年からは各学年、男女1人ずつになります」
それだけでも衝撃的なのに
よりによってそれがあたしだなんて
真優香も青來も
まだ1年だし残る気がしてた
何よりあやのと一緒に
来年も戦士でいられるのだと
当たり前に思ってたんだ
(あやのがいなきゃ何にも楽しくない)
同期で同い年で同じチームで
性格は全然違ってたけど
一緒にいればいつも笑ってた
あたしにとって
天てれといえばあやので
収録にあやのがいない日には
軽く落ち込んでたくらいだ
(…どうしてあたしなの?)
新年度の収録が始まっても
そんなことばかり考えていた
周りは初めてのメンバー
知らない顔、知らない名前
当たり前なのに
その現実が受け入れられなくて
まだ最後の生放送も来てないのに
新年度の収録をしていることが
悔しくて、いつも帰れば泣いていた
(もしあやのがここにいたら…)
嘘みたいな想像を勝手にしてみる
どんな衣装だっただろう
どんなキャラだっただろう
どんなトークをしていたんだろう
きっとあたしはもっと笑ってた
「お疲れ様ー!」
みんなが帰ったあと、1人楽屋に残る
楽屋にはもう
新メンバーの物がたくさんある
その中には09年度戦士の
忘れ物もちらほら置いてあった
「…変なの」
生放送が終われば
新メンバーの物だけなんだろうけど
(お願い、忘れたままでいてよ)
当たり前の日常は
当たり前のままでいて欲しい
あやのと笑った楽屋も
あやのとゲームしたセットも
あやのと並んで座ったあのイスも
「もうなくならないで…」
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