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「りーんっ」
「あやの…!」
気づけば楽屋にはあやのがいて
いつもの笑顔であたしを見ていた
「ど、どーしたの?なんか忘れ物とか?それとも生放送の打ち合わせかなんか?」
収録は全部終わって
あとは生放送を待つだけ
だからしばらくは
新メンバーしか来ないのに
「今日は新年度の収録だって聞いたから。凜に会いたくなって来ちゃった」
笑うあやのと対称に
あたしの目からは涙が零れる
「もーっ、何泣いてんの~?凜は笑顔が似合うんだから!ほら、ハンカチ」
泣くのはいつもあたし
それを毎回慰めるあやの
こんな風にして
当たり前にハンカチを渡して
いつもツンツンしてるけど
本当は優しいあやのが大好き
「…離れたくないよ、あやの。あんなにいたのに7人しかいなくなっちゃって、周りは知らない顔ばっかりで…あたし、あやのがいたからやってこれたのに…」
(卒業なんて嘘だと言って?騙されてても絶対に怒らないから)
「ったく、凜を見損なったよ!凜と元ちゃんは唯一の3年戦士なんだよ?2人が新メンバーを引っ張っていかなきゃ!じゃなきゃあやのに変わって欲しいくらいだよ~」
「あやの…」
「なんてね、キツいこと言ってゴメン。でもあやのは凜が先頭に立って活躍してる姿をテレビで見たいんだ。そして、いつものあの可愛い笑顔でみんなを元気にして。今までは出る側だったけど、これからは見る側として凜を応援するよ!」
あたし、何してたんだろう
今年は17人もの仲間が
初めてのことに戸惑っていたのに
先輩として何もしてないなんて
あたしは任されたんだ
あやのと一緒にいたいなんて
そんなワガママ、
みんなには関係ないよね
羅夢ちゃんや千帆ちゃんが
引っ張ってきたこの天てれを
今度はあたしがいい番組にしなきゃ!
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