夢みたいな朝のひととき

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三人で歩いていると、後ろから大きな声を出して近づいてくる、男の姿があった。 「隼人、宮下姉妹、待ってくれ~」 息を切らせて、走って来たのは、樹瀬渉(きせ・わたる)中学からの友達だ。 俺達はクラス分けを見るため、人が少ない時間に学校に行って確かめようと昨日決めたのだったが、約束の時間になってもこなかったので先に歩いていた。 「いやぁー、わるいわるい」 呼吸を整え、軽く謝って渉は顔を上げ、隼人の顔見て首を横に傾げた。 「ありゃ?今日はなにも無いのあきなっち」 「今日は逃げられたの、人がせっかくクラスの人気者にしてやろうとしたのに」 と残念そうに肩を落とす秋奈だったが、次は必ずやってやると目が燃えていた。 「違うだろ人気者じゃなくて笑い者だろ」 訂正をいれた隼人は軽く秋奈の頭をチョップした。--- 「そんなとこで止まらない、話しながら歩こう」 と冬奈が腕時計を見ながら俺達を優しくせかすように言ってきた。 三人は冬奈に謝り、今度は四人で歩きだした。
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