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『こちらスネアドラムス、11時方向に反応!IFF確認、間違いない!『姫』の馬車だ!』
『よーし。スネアドラムス、あとは任せろ。ムラサキよりツバメ隊全機、俺に続け!』
訳のわからない任務だ。
そう思いながら、僕は空を飛んでいる。
レーダーに映るのは単機で飛ぶ敵の姿。
僕達の任務はその敵のお出迎え。
しかもその敵が僕達に味方する、という信用ならぬ前提での歓迎なのだからままならない。
『クロ、了解』
『アカ、了解!南瓜の馬車のお迎えとはロマンティックが止まらんな!』
なにがロマンティックだ。
こんな怪しげな任務だというのに……
怪しげな任務だからこそ、僕達が駆り出されてるというのに……
「ミドリよりアカ、乗っているのは女性とは聞いてはいるが美人とは限らない」
『アカよりミドリ、相っ変わらずお前の頭にはロマンティックが足りてねぇ!』
お互いに軽口を叩きながら蒼空を飛ぶ。
黒煙ひとつない綺麗な空は鳥すらも受け入れないほど無情に蒼い。
そんな蒼空でこんなに大掛かりな鉄塊に乗ってまで殺し合いを演じる僕等をどう思っているのだろうか。
『ん?クロよりムラサキ、レーダーの反応がおかしい。これは……』
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