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やっぱり気分がいいわ……
髪を洗ってからシャワー室を出る。
肩から胸までへばり付く髪をタオルで纏める。
そしてゴシゴシと頭をある程度拭いてから、身体を拭いて服を着る。
身体に滴る水気をある程度は取れたが、どこか湿気たような感じは拭いきれない。
新しい寝間着に着替えた私は自分の病室に向かう。
退院も近いのだから片付けておかなければ……
退院して、どこに行くのかはわからない。
宛もないのに、退院してどうしようと言うのか。
「久しぶりのシャワーはどうでした?」
「下手くそなナースに濡れタオルで拭かれるよりはマシね」
病室に入って、早速荷物をまとめているナースに毒を吐きながらベッドに座る。
久しぶりに立って歩くのはやはり疲れる。
「あなたの毒舌もあと少ししか聞けないんですね……」
「貴女の下手くそな看護もあと少しと思うと清々するわね」
「酷いですよ、それ」
「冗談よ」
こんなやり取りもしばらくしたら終わりだ。
だとしたらその先はどうすればいい?
「私は退院したら、どこに行けばいいんだろうね」
「そういえばホントなら軍のほうで引き受けてもらえるハズだったんですよね」
一ヶ月前ならば、そうなっていたハズだろう。
だが戦時下での約束など、豆腐より脆い。
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