月の夜

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耳元で囁かれ、沙耶は小さく肩を震わせた。 「嫌…じゃない。…けど…」 「けど、何だ?」 すぐ目の前にある見透かすような青い目を、沙耶は悔しそうに見つめ返す。 「意地悪」 蒼は笑い、抱き締める腕に力を入れ深く口付ける。沙耶は固く目を閉じ受け入れた。 熱くなる吐息。いつの間にか蒼の唇が首筋に移り、沙耶が戸惑っている間に、肩紐を解き服を脱がせていく。 「あ、蒼、ちょっと待って」 沙耶が慌てて胸を押し止めると、蒼はその手を掴み真っ直ぐ見つめた。青く澄んだ瞳に捕らえられ、沙耶は動きを止める。 「なんだ?」
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