月の夜

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月光が見つめ合う2人を照らす。 蒼の指が黒く艶やかな髪の間を滑ると、沙耶は躊躇いながら口を開いた。 「本当に…私達結婚したの?」 「そうだ」 「私…この世界で長く生きられないんでしょ。私が死ぬと、蒼も本当に死んでしまうの?」 「数日の内に命尽きる。けれど、お前の身体は数珠と融合して完全にこちら側の人間となった。適応出来ず死ぬ事はもうない」 心配し聞く沙耶を、安心させるように蒼は言った。 「そう…なの?自分では何が変わったのか分からないけど…。ねえ、あの数珠は何だったの?」 「赤痣の番が持って産まれると言われてるが、俺にも分からない。身体が変わらずに感じるのは、元々お前のこちら側の血が強かったせいだろう」
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