運命の日

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「夜月神様ですね。はじめまして、沙耶と申します」 狼は何も答えず軽く跳ね縁側に上がると、頭を下げたままの沙耶に近付く。 そしてすぐ前で足を止め、観察するような目で見下ろした。 「六月の後だ」 低い男の声。 沙耶は、すぐ近くで聞こえた人の声に驚き顔を上げる。 目の前に青く綺麗な瞳。 その瞳に吸い込まれるように沙耶は顔を近付けた。 鼻と鼻がくっつきそうな距離。 夜月神は、驚いたように目を見開き後ずさる。 「あ、え?」 沙耶は自分のした行動に気付かず、相手の反応に目を丸くした。 「…あの…夜月神様?」
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