悪魔の日常

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カンカンと家の扉が鳴り、ネリーは腰を上げた。 ネリーの家にはよく幼なじみのアンナや訪問商が訪ねてくるが、今の時間は昼過ぎで二人とも仕事の時間である。 他の知り合いにもこの時間に訪ねてこれそうな者はいない。 ネリーの住む場所には主婦などは存在しなかった。 不思議に思いながらもネリーは扉を開き、途端、瞠目した。 「ヴェルナー!」 叫ばれた男は僅かに笑い、久しぶりと言った。 「いつ帰ってきたの」 「今さっき帰ってきてな…今いいか」 「えぇ…入って頂戴」 そう言ってネリーは扉を開ききり、ヴェルナーを中に招いた。 ネリーはヴェルナーを眺めながら、彼の後ろを見て驚いた。 彼の肩より背の低い少女が、ヴェルナーに促され姿を表した。 瞳の大きく少し垂れ目で、鼻筋がすっとして高くもなく鼻梁が整い、唇も綺麗な薄紅の色をしていた。 ネリーが見た中で初めての、恐ろしく美人な少女である。 彼女は肌が白かったが、差し込んだ日を受け止め、光を放っている様だった。 「アリロールです。はじめまして」 少女はその顔に似合った、愛らしい鈴のような声で言うと頭を下げた。
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