第四章 【身代わり】

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「こんばんは」 香川さんが頭を下げる。 「こんばんは。 宜しくお願いします」 香川さんは私のドレスの裾を気にしながらドアを閉めた。 「直行でよろしいですか?」 「ああ、頼む」 パーティー会場のホテルに到着するまで、ケイはずっと私の手を握っていてくれた。 渋滞もあり、30分ほどかかってホテルに到着する。 「ねぇ!! あれってテレビカメラ?」 ホテルの前にはレッドカーペットと、その脇には報道陣。 「気にすることは無い。 主役待ちだろう」 そしてケイにエスコートされて車を降りる。 眩しい!! カメラのフラッシュ。 足早にケイは私を連れてホテルの中に入った。 「ねぇ、ケイ。 もう良いでしょ? 何のパーティーか教えて?」 「女優の“飯島 鈴華”(イイジマ レイカ)のアカデミー賞受賞祝賀パーティーだ。 そして、婚約披露パーティー」 ケイは受付で招待状を見せ、名前を記入している。 「飯島鈴華!?」 つい大きな声を出してしまってケイに睨まれた。 やっぱり私とは別世界だ…。 広いパーティー会場には各界の有名人が沢山。 「緊張しなくて良い。 大丈夫だ」 そう言って私の手をケイの腕にかけた。 緊張しない訳がない。
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