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「言っておくけど、これは貢いでるんじゃないからな?
俺がお前と持ちたいの。
薬指にしろとはお互いの仕事上言わない。
でも、身に付けてて欲しい」
響はショーケースのペアリングを見つめる。
「いらっしゃいませ。
ペアですか?」
「ちょっと!! 響!!」
響の服を引っ張る。
「はい。
これ、サイズは揃ってるの?」
「はい。
ご用意しています」
店員さんがにこやかに言う。
「一番人気は?」
「こちらがオススメです。
まだ日本で入荷しているのは当店しかありません」
「ふ~ん。
じゃあ、それ見せて。
遥、どの指にする?
俺は左手の中指かな」
響はどんどん決めていく。
こういう所はケイに似てる。
「ほらっ!! 指出して!!」
「響、高いって!!」
小声で言った。
「気にするなよ。
よし、遥も中指な」
響が私の中指に指輪をはめる。
「これ、はめてくから、ボックスと袋は別にして」
「かしこまりました」
「遥、椅子に座ってろ」
「でも…」
「良いから」
言われるままに椅子に座る。
会計をしてる所を見せない…男らしい。
でも…高級ブランドの指輪…。
私は光る指を見た。
不思議…。
恋人なら嬉しくて仕方ないであろうペアリング。
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