ぼくはダメな子?

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 ここはカラスの学校です。 「これから歌の練習を始めます。みなさん、先生の後について歌って下さい。」 カアコ先生が言いました。 カラスの歌が聞こえてくるよ カァ(ガァ)カァ(ガァ) カァ(ガァ)カァ(ガァ)… 「あらっ、変な声が聞こえてくるわね。それじゃ、もう一度練習します。」  カアコ先生が首をかしげながら言いました。 カラスの歌が聞こえてくるよ。 カァ(ガァ)カァ(ガァ) カァ(ガァ)カァ(ガァ) 「あら、カンキチ君だったのね。変な声を出したのは。ふざけていないで、ちゃんと歌ってください。」  まわりの子供たちは、クスクス笑っています。 「はい、先生がんばります。」  そうは言ったものの何度やってもガラガラ声のオンチはなおりません。  先生はあきれてしまい、カンキチ抜きで練習することになりました。  カンキチはとても悲しい気持ちになりました。 『どうしてぼくだけ…皆みたいにきれいな声で歌えないんだろう。』  しかし、歌に限ったことではありませんでした。  カンキチは何をやっても上手にできませんでした。  おゆうぎをやってもなかなか覚えられなかったし、絵を書くのも下手でした。  だから友達にはいつも笑われてばっかり…。  そんなある日のことです。 カアコ先生がにこにこしながら言いました。 「皆さんも大きくなってきました。そろそろ飛ぶ練習をはじめましょう。」  まずは、子供たちのせたけほどの台の上から飛びおりる練習です。  子供たちは楽しそうに、にこにこしながらストンと飛びおりました。 「はい、次はカンキチ君の番よ。」  カアコ先生に言われても、カンキチはこわくてなかなか飛び降りることができません。  友達のカンタが面白がって、こわがるカンキチの背中をポンと押しました。  そのひょうしにバランスを失って、カンキチは頭からまっさかさまに落ちてしまいました。 「イタタタタ…」 カンキチの頭にはコブができてしまいました。 「ごめんね。」 カンタはうなだれています。 「僕もう平気だよ。気にしなくていいから…。」  カンキチは口ではそう言ったものの、ほんとうは頭がズキズキ痛みました。 image=475867884.jpg
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