ともだち

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 でも、その事件があっていらい2人は仲良しになりました。  何かあると、カンタはカンキチをかばってくれるようになりました。  学校から帰ると、よく近くの林に探検に出かけました。 「あっ、きれいな花が咲いてる。母さんのおみやげに持って帰ろう。」   そう言って、花を1りん口にくわえるカンキチをカンタは優しく見守ります。  家に帰るなりカンキチは、いちもくさんに母さんのいる所へ走って行きました。 「母さん見て! きれいでしょ。林の中に咲いていたんだ。」 「まあ、何てきれいなお花かしら…。うれしいわ、ありがとう。」  母さんはそう言うと、すぐにその花を花びんにさしました。  そして、にっこり笑うと言いました。 「さっ、疲れたでしょ。夕ごはんにしましょうね。」    それから数日後、学校でまた飛ぶ練習がありました。前よりもさらに高い所から飛び降りなければなりません。  子供たちは少し不安な表情を浮かべましたが、それでも何とか飛び降りました。  そして、ついにカンキチの順番になってしまいました。  カンキチはどうしてもこわくて飛び降りることができずに、とうとう泣き出してしまいました。  学校の帰り道、カンキチは泣きはらした目でうつむきながら歩いていました。  お友だちの笑い声が頭からはなれません。これからますます高い所から飛び降りることになるのです。  カンキチの心の中は不安でいっぱいでした。 「カンキチ、元気出せよ。できなければ練習すればいいじゃないか。」 「練習?」 「そう、練習…。よし今から特訓だ。」  2人はいつも遊んでいる林に行くと、さっそく練習を始めました。  カンタはいっしょうけんめい上手に飛べるように、飛び方をカンキチに指導しました。  カンキチも、何度も転びましたが、歯を食いしばってがんばりました。 「カンキチ、もう終わりにしようか。」  アザだらけの体を心配して、カンタが言いました。 「ううん…。まだまだ…がんばる。」 「分かった。それじゃ…行くよ。」  夕ぐれのあかね空に2人の声がひびきました。 image=475867946.jpg
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