のんびりと

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結局、洗いざらい吐かされた。 夜のチアさんが今の状態からは想像できないほどの甘えん坊であること。 僕の家に泊まる頻度が僕が大学に合格してから少しずつ増えていること。 そして一緒に寝ていることも。 もちろん、その先も。 言いたくなかった。 だけど今、腹をくくって洗いざらい言わないと、ハヅキがバラしてしまうかもしれなくて、そうなれば後が怖い。 「イツキくんはどんな音楽を聴くんだ?」 そんなこんなで現在は駅で電車を待っている。 ちなみにチアさんは洗いざらい吐かされた為か、大学をでる前から今にかけてまで終始、真っ赤だ。 いやまあ、僕もピロートークの内容とか聞かれたものだから、穴があったら入りたい心境だ。 どうにもこのサークルにプライバシーは存在しないようだ。 今度アスミさんに去年、フレディーとデートした内容でも聞くことにしよう。 「あまり聴かないのでよくわからないですね」 「俺もよく千晶に付き合わされてるが、何を歌えばいいかよくわからん」 というか、カラオケに行こうという発想に行き当たらないような気もする。 「タカシさんって千晶とご近所さんらしいですね」 「ああ。俺と千晶は幼なじみでな。家が向かいなんだ。そのせいか、毎朝起こしに行ったり、あいつの両親が出張多いから飯の世話焼いたりな」 「ずいぶん親身になってるんですね。まるで姉弟みたいです」 「姉弟と言うよりは、半身だな。一緒にいて当たり前だったからな」 そこまで言って、恥ずかしくなったのか頬を指でかく仕草をして、ホームの天井を仰いだ。 「とりあえず、千晶が彼氏を作るまでは面倒見るつもりだ」 初めて見る赤い顔でチアさん、アスミさんと話していた千晶先輩を見やった。 「タカシくんは素直じゃないね」 美樹先輩がタカシさんを見て笑う。 「ほっとけ」 どうにも僕にはわからない。 今の会話のどこに素直じゃない要素があったか。 …ああ、なるほど。 「千晶先輩のこと好きなんですね」 「む…あ、ああ。そうだ。俺は千晶が好きだよ」 「彼氏作るまでって、なんかイヤじゃないですか?」 「タカシくんは、ほら。千晶さんがどう思ってるのか分からないんだよね?」 ああ。とだけ呟き、頷いた。 少しだけど気持ちは分かる。 僕だって、チアさんの気持ちを知るのは怖かったのだから。
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