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「歓迎会?」
そう提言すると、フジノさんに提言すると訝しげに眉をひそめる。
ケイくんはというと、タカシさんと一緒にみんなの飲み物を買いに出かけた。
「うん。チアさんの誕生会も兼ねてね。良かったらどうかな?」
「歓迎会自体は嬉しいんだが…お前も新入生だろう?何でお前が取り仕切ったように話を進めてるんだよ」
昨日今日にサークルに入った彼女は当然ながら、事情は知らない。
もとより事情は説明するつもりなのだが。
「ここのサークルは早川さんと、その妹のゆかりさん以外はみんな僕と同じ学校出身で同じ部活出身なんだ。それと、チアさんは僕の恋人だし、チアさんはみんなと過ごしたいって」
フジノさんは、訝しげな表情をのんびりした表情に変え、欠伸をひとつ。
「事情はわかったが、勝手にそんなことしていいのか?」
「言い出したのはチアさんだから大丈夫だよ」
「そうか。んー…まあ、ケイにはあたしから言っとくよ。場所は?」
「僕の家。タカシさんが迎えに行く旨をケイくんに伝えてるよ」
「用意周到だな。まあ、お前がチア先輩と蜜月の時を過ごすなら何時でもできるからな。とりあえず、わかった」
蜜月は余計なお世話だ。むしろ下世話だ。
彼女は了解し、読んでいた本の世界へ戻っていった。
「ただいま」
「お待たせです」
飲み物を買いに行っていた二人が戻り、僕達に飲み物を渡していく。
ちなみに僕とチアさんはポカリ。
「ケイ。話は?」
「うん。僕はフジノがよければ」
彼女に笑顔を返しながら彼女の隣に腰掛け、手慣れた様子で彼女に膝かけをかける。
「あたしは構わない。せっかくの誘いなんだ。それに、このサークルはあったかい」
薄く笑みを浮かべた彼女はゆっくりとケイくんの肩に頭を預ける。
このサークルはいちゃついていても何とも思われない。
主な原因は高校時代からの僕とチアさんなのだけど。
「あら、来てくれるの?うれしい限りね」
僕の隣に座るチアさんが心底嬉しそうに微笑む。
「ええ。あたしには友達を作れませんからあんまりいなくて、こんな雰囲気は経験ないんです」
「友達は作るものじゃないわ。なっているものよ?私はこのサークルに入ってくれたあなたを友達と思っているけど、迷惑かしら?」
フジノさんは驚くように大きな目を丸くする。
「いえ、凄く、嬉しいです」
「そう、よかった。改めて歓迎するわ、フジノ」
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