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「むひゃう!」
非常に女子力の低い声を出してしまった。咄嗟の時にかわいい声を出せるのと、出せないのでは大きく水を開けられる事になるが、咄嗟の時なんて来ない方がいい
老婆は柿が腐ってる事に気付いてないんだろうか。老婆がいなくなって、静まりかえった店内は、もう何年も営業してないように見える
「あの~。すみませ~ん」
恐る恐る老婆の消えた方に向かって声をかけるけど、答えはない
焼きそばもいつ出てくるかわからないし、そっと帰ろうかとも思ったんだけど、ニコニコ笑う老婆の事を思うと、罪悪感も出てくるから、声だけは掛ける事にして、そうっと忍び足で店の奥に向かった
「美味しそうだねぇ」
店の奥では、老婆の呟きと共に包丁を研ぐ音が聞こえる
これはまさか民話に良く出てくる、人食い婆なのか?
悪い予感がした時に、帰ればいいのに、好奇心に負けて老婆の姿をそっと覗く
ビンゴ!
ニコニコした老婆はそこにはいなくて、牙の生えた鬼婆が包丁を研いでいた
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