出会い

9/9
前へ
/31ページ
次へ
「そんな寂しい顔しないで?また会えるから…な?」 先輩は慰めるように、私の頭の上に手を置き顔を覗きこんできた。 顔近い… 「ん?顔赤いぞ?大丈夫か?」 貴方のせいです! 「だ、大丈夫ですよ。それよりも、先輩こそ約束守ってくださいね!」 「おぅ!俺は大丈夫。ちゃんと来年ここに来いよ!放課後待ってるから」 「あ、そういえば私名前言ってませんでしたよね?近藤桜っていうんです」 「知ってるよ」 そんな先輩の声は小さくて聞こえなかった。 「え?」 「じゃぁ、また来年な!」 笑顔で走っていく先輩の後ろ姿をただ呆然と立ち尽くし、見送る。 もしこの時ちゃんと聞き返していたら何か違っていたのだろうか。 もう少し会話を続けていたら何か違っていたのだろうか。 今となってはただの想像でしかない。 .
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加