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「そんな寂しい顔しないで?また会えるから…な?」
先輩は慰めるように、私の頭の上に手を置き顔を覗きこんできた。
顔近い…
「ん?顔赤いぞ?大丈夫か?」
貴方のせいです!
「だ、大丈夫ですよ。それよりも、先輩こそ約束守ってくださいね!」
「おぅ!俺は大丈夫。ちゃんと来年ここに来いよ!放課後待ってるから」
「あ、そういえば私名前言ってませんでしたよね?近藤桜っていうんです」
「知ってるよ」
そんな先輩の声は小さくて聞こえなかった。
「え?」
「じゃぁ、また来年な!」
笑顔で走っていく先輩の後ろ姿をただ呆然と立ち尽くし、見送る。
もしこの時ちゃんと聞き返していたら何か違っていたのだろうか。
もう少し会話を続けていたら何か違っていたのだろうか。
今となってはただの想像でしかない。
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