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閃光のように現れた左腕が青く光る「お兄ちゃん」は、「何か」に乗っとられた父さんを一瞬で倒した。
「父さん」は倒れて動かなくなった。
不思議だった。
さっきまで「父さん」は生きていていた。
化け物に攻撃されると何かが抜けたみたいに動かなくなった。
化け物に乗っとられると「そいつ」になって、また動き出した。
でも「お兄ちゃん」が化け物が乗っとった「そいつ」を倒すと、また何かが抜けたように「父さん」は動かなくなった。
俺は人間の命は小さく、はかなく、脆いモノなんだとこの時初めて知った。
「お兄ちゃん」が言っていたように本当に体だけが戻ってきた。
母さんと妹は泣きながら父さんの体に寄り添った。
「お兄ちゃん」の左腕の青い光は消えていた。それに「お兄ちゃん」も悲しそうな表情をしていた。
まだ幼かった俺は「お兄ちゃん」に言った――
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