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あの男は自然人に乗っ取られている。
それは近づくにつれ分かった。
あの男の体からは、青の光を微かに感じる。
俺は手首に付けているハンド・リングのスイッチを押した。
ハンド・リングから電子音が流れる。
それにともない一瞬体全体にビリッという痺れを感じる。
最初は慣れるのに時間がかかったが、この時はすでに慣れていた。
そして、すぅーと体が軽くなる――
左腕が青く光る。
これは
左腕の「自然化」だ。
まず、俺は地面に座り込んでいた二人にすれ違い際にこう言った。
「今、あのガキを助けてやる」
二人は俺に対して一瞬、少し怯えたような表情を見せたが、母親らしき女性は
「お願いします」
と言った表情を浮かべ 小さく頷いたのが分かった。
俺が壊れた玄関の前に立つと男を乗っ取った自然人が「少年」に今にも襲い掛かる勢いだった。
俺はすぐに助けるべく駆け寄った。
しかし俺は複雑な思いを抱いていた。
それは自然人を倒すことよりもあの「少年」に知らせなくては、教えなくてはいけないこと重要な事があったからだった。
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