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間に合わなかった。
後悔の念と自分の到着の遅さ、目の前の女への感情が少女のなかに渦巻く。
「一般人への魔法攻撃及び殺人罪の現行犯で貴女を逮捕します。」
その目にはきらりと光るつぶが浮かんでいた。
そして少女が腕を振ると滞空していた弾が女に向かって飛んでいった。
着弾寸前、女から凄まじい光が発せられた。
その刹那で女は着弾点から少女の背後に回った。
そして少女の放った弾は目標を失い、そのまま少年に向かっていった。
弾は少女から直線的に動くようにとしか設定されていなかったようでさらに言うと少女は倒れた少年のことを失念していた。
その結果弾は真っすぐに飛んでいき少年に迫る。
そして着弾した。
少女は顔を青くした。
守るべき者に攻撃を当ててしまったと。
「あっははははは。守る対象攻撃する奴がよく魔法局員なんかなれたな。」
と、少女をバカにする笑い。
着弾の影響で砂埃が舞い、少年の姿を確認できない。
魔力を込めすぎた。それから連想されるのは、バラバラの死体。
「あれだけ魔力がこもってるんだ。跡形なく消しとん……で、る……」
女は言葉につまった。
少年の姿が着弾前と変わってなかったからだった。
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