空の魔導書

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「我が名は蒼天の書なり。」 どこからともなく聞こえる声は、本からはっせられたものだった。 本からはっせられていた光は徐々に収まり、本も少年の手のなかに納まった。 「いってぇ、あいつマジありえねぇ。」 俺が声を発するとぽかんとした表情の女と、女の子が立っていた。 「……新手か?」 俺の言葉に少女ははっとして答える。 「防衛省魔法局特別武装隊の者です。」 俺は聞き慣れない言葉を聞き頭の中で反芻する。 「貴方の持っていた本から強い魔力を感知して出動しました。任務は本の確保と貴方の保護でしたが、本がなくなった今、最優先となるのは貴方の保護になります。」 そう説明し、少女は女に向き直る。 「ちっ、目覚めたばかりとはいえ魔導士と二対一か。本はおかしくなるわ邪魔は入るわ……任務は失敗か。」 女はそう一人ごつと俺たちに向けていう。 「今日のところは引き上げよう。だが次にあうときお前のそれは我らが黒十字教団のものになることを忘れるな!」 そう言い放つと去っていった。 「あっ、待ちなさい!」 少女は叫び追い掛けようとするが、後ろからどさりという音が聞こえ振り返る。 俺はそこで意識を失って倒れていた。
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