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骨_4
隆弘はそのとき、小学校の高学年になっていた。
またしても、隆弘のからだに異変がおきた。
年頃からいえば第二次性徴がはじまり、男の子であれば、アゴやわきやどこそこに毛が生えたといって騒ぎだす頃である。
隆弘におとずれたそれは、胸のふくらみだった。
べつに太っているわけでもない隆弘にとって、そのふくらみはかなりめだった。
どこからか、[男でも乳ガンに罹る]という話をききつけてきた母親が、大急ぎで病院に隆弘をつれていったのだが、結果は‥またしても、というものだった。
隆弘のからだは、ホルモンの分泌がはなはだ異常であるものらしかった。
自律神経失調症などではなく、そのバランスを最初から欠いている、いびつである‥というのがどういうことなのか、隆弘にはよくわからなかったのだが‥
とりあえず、彼のからだにおいては女性ホルモンが圧倒的に優位であり、ありていにいうと‥隆弘は第二次性徴をまちがえたのだ。
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