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「おー、よしよし。
かわいいなあ。なんだ、おまえだけか?。
主人はどうした」
沢井が犬の頭を撫でて、そう言っていると、階段から若い女性が慌てて降りて来て、やはり一直線に沢井の元に駆け寄って来た。
「すいませーん」
風になびいた髪をかきあげ、女性は犬に
「こら、アンジェリーナ、ダメでしょ、もう~」
と窘めた。
アンジェリーナは今度はその御主人様に、じゃれついた。
沢井はそれを眺め
「ポメラニアンですか。
かわいいですね」
と、自然と笑みを浮かべた。
女性は
「スイマセン。
服とか汚れませんでしたか?」
と沢井を覗き込んだ。
「いやいや、全然問題無いですよ」
「それならよかったです」
女の笑顔が眩しかった。
結構可愛いい子だ。
20ちょっとだろう。
始めて見る。
この辺の子だろうか。
沢井は、アンジェリーナに顔面をしこたま舐められている女を見て、みょうな気分になった。
と、女性が
「この辺のかたですかあ?」
と聞いてきた。
「え?いや、家は隣のY市なんだけどね。
会社が割と近くで、よくこの場所で昼飯食ってんだ」
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