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「そうなんですか」
「君は近く?」
「ええ、自転車で10分くらいですよ。
たまに犬の散歩にきます」
女性はそう言ったが、この公園で会うのは始めてである。
「あっ、やべー」
腕時計を見た沢井が叫んだ。
顧客回りの時間である。
「それじゃ、俺はこれで」
「あ、はい」
名残おしいが、しょうがない。
沢井はベンチに掛けていたブレザーを抱えると、立ち上がった。
階段を登る沢井は、背中で女の視線を感じていた。
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