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これは、大ダブルハンデである。
普通なら、一笑されるか嫌われるだろう。
その覚悟はあった。
少し沈黙があったあと
「ゴメンなさい」
千央は前を向いたまま頭を下げた。
(やはりな)
沢井は出来るだけ平静を装った。
「いいんだよ、別に。
千央にはもっと若いイケメンさんが現れるだろうし。
今の話しはナシね」
「ううん、私、うれしいよ。
だから今まで通り友達として会って、お話ししていこ?」
「え」
沢井は千央の顔を眺めた。
「それじゃダメぇ?」
千央は、上目使いに、やはり沢井を見つめた。
(か、かわいい。かわい過ぎる)
沢井はドキュンと胸が
高鳴った。
「いや、いいよ。全然オッケーだよ。
友達だよね、俺ら」
もう会わないと言われたらどうしようと、告白したことを、ちょっぴり後悔し始めていたが、沢井は、それを聞いてホッとした。
「じゃ、また誘ってね」
千央は車から降りると、手を振りながら、暗闇に消えて行った。
(まっ、これでいいんだ。浮気なんか俺には出来ないし。
友達友達)
沢井は自分にそう言い聞かせた。
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