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それからしばらく深瀾と凜音は……というか凜音が一方的に言いながら斗鬼の部屋から出ていった。
カイはそれを見て『じゃあ俺も………』と今回は消えるのではなく大人しくドアから立ち去っていった。
斗鬼は一人深いため息をついたあと家へと続くドアへ向かい、椿がいる自分の家へと帰っていった。
帰ると当たり前だが家の中は真っ暗で一人で住んでいたころと変わりないように見える。
斗鬼は廊下の電気をつけて靴を脱ぐと真っ先に自分の部屋へと向かった。
そして静かにドアを開ける。
するとそこにはすやすやと眠っている椿とその横でじっと椿を見つめている大陰の姿があった。
「キシシシシシ、お早いお帰りで」
大陰がこちらを向き意地の悪そうな顔をする。
斗鬼はそれには何も答えず、『ご苦労』と一言大陰に言った。
大陰は無言で斗鬼に一礼をするすぅーっと煙りのように溶けて消えてしまった。
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